本記事は「頭のいい人が話す前に考えていること」の後編です。
前編は、ビジネスやコミュニケーションで活用できる「考え方」について理解を進めました。
恋人とのデート中、「この青い服と白い服のどちらが似合うと思う?」 そう聞かれたら、あなたならなんと答えますか? この質問から本書は始まります。 よくありそうな話ですね。 これに対し、どう答えるか? 今回は、「頭のいい人[…]
後編は、思考の「深め方」を理解できます。
実践編になりますので、要点から確認しましょう。
- 客観性
- 整理
- 傾聴
- 質問
- 言語化
これらの要点を深掘りして解説していきます。
・考え方を深くしたい人
・問題発見、課題解決の手法を知りたい人
「客観性」のある情報の精査を正しく行う
会話の中で話が浅い人と深い人がいます。
なぜ浅くなるのか?を紐解いていきます。
根拠が薄いと浅い
会話が浅いのは「根拠が薄い」からです。
「著名人が言っていたよ!」
「ネット記事で書いてあったんだけど…」
「ビジネス書ではこう書いてあります!」
このような発言は根拠が薄いです。
現在の社会は、情報に溢れています。
そのため、情報を正しく精査する力が必要になります。
たとえば、以下の場合どのように感じますか?
これは、意見の「本質」を捉えていないからです。
特に「確証バイアス」には要注意です。
確証バイアス:自分の論理を正当化させるために都合の良い情報のみを参照すること
- 逆の意見や視点での発信を参照すること
- 統計データを確認すること
- 統計の分類を変えてデータを確認すること
「読書をしていなくとも年収600万の人はいる」と言う別の意見を探してみることや「年収があるから読書ができる」と言う視点で考察してみましょう。
年収が300万や400万、500万の人ごとの統計データを参照することも良いです。
視点を変え、役職ごとや年齢ごとなどの他の分類での傾向が見ると少しずつ本質が見えてきます。
言葉の解像度を上げよう!
言葉には、曖昧なものがあります。
曖昧な言葉は正しい伝達ができず、語弊を生むこともあります。
つまり、言葉の意味を正しく理解し、正しく使うことが求められます。
そのためには、以下のようにしましょう。
- わからない言葉はすぐに調べる癖をつける
- 抽象的な表現は避ける
- 抽象的な表現されたら確認する
たとえば、「社内のコミュニケーションを活性化させよう」と社内で決まったとします。
この指示は、いろいろな受け取り方できます。
・対面で話す機会を増やす?
・社内コミュニケーションツールを活発に使う?
・会議を増やす?
・報連相をきっちり行う?
言葉の定義のズレ、認識のズレはトラブルを起こすため、細かな確認をしましょう。
自身の発信では「相手がどう受け取るか?」を考えてから発信することを意識すると良いです。
他者の発信では「どう言う意図か?」を理解するまで聞きましょう。
特に、横文字は抽象度が増すので注意しましょう。
言葉の解像度が低いと意味が正しく伝わりません。
言葉の解像度を上げて、正しく伝達することを意識しましょう。
正しく理解するために、思考を「整理」する
頭のいい人は、「本質理解」を時間を使います。
なぜ本質を理解するのか?
それは、「わかりやすい話」するためです。
本質理解は、相手に合わせた話ができるようになります。
仮に「Webデザイン」という言葉を定型的に説明をすると以下のようになります。
- サイトのUIやUXをデザインをすること
本質を理解していると具体的に説明すること・例を出して説明することが実現できます。
このように本質を理解していると聞き手にイメージしやすい話し方ができます。
つまり、理解とは「情報が整理されている状態」を指します。
簡単な例で言えば、本棚に複数の本を収納するとします。
その過程で、おそらく漫画本、ビジネス書、小説、など分類するでしょう。
漫画本なら多くの場合、巻数順に並べるでしょう。
これらは、本の種類や数字の理解が整理されているからです。
本や数字の本当の意味を知らない人はこれらを整理することができません。
結論から話すようにしよう!
思考を整理できたら、どのように話せば良いでしょうか?
相手を引き込む会話は、ミステリーやお笑いなどオチが重要な場合を抜いて、結論から話すことです。
「結論を先に述べること」で相手は話をどのようなスタンスで聞くかのスイッチを入れます。
「クレームについて、報告と相談です。」と言われれば、重要な話として相手のマインドがセットされます。
「大したことではないのですが、朝礼のことで相談があります」と言われれば、聞き流しても良いものかな?と判断されます。
上記の会話において、理由や背景から長々と話すことは相手に本質を伝えられません。
自分のしたい話をしているだけになります。
会話で相手が聞きたい部分は結論です。
思考整理ができたら、結論はどこにあるかを考え、そこから述べるようにしましょう。
事実と意見を分類しましょう!
以下の文で、事実はどちらでしょうか?
- 豊臣秀吉は天下統一をした偉大な人物だ
- 豊臣秀吉は初めて天下統一した人物だ
これは後者が事実です。
偉大だと感じるのは感想です。
これを区別できない人は「仕事ができない人」とみなされる原因になってしまいます。
事実は、あくまで起きた事象やデータを指します。
上記で言えば「偉大」というのはあくまで主観的な感想です。
また、「みんながそう言っているよ」というのもあくまで個人の感想を集めただけに過ぎません。
一般論ではあるものの自分に意見のない人だとみなされます。
事実とは何でしょうか?
- 証明可能な客観的な事柄が「事実」
- 証明できない主観的な事柄が「感想」
- 主観的な感想から証明できるデータを持ち出す事柄が「意見」
仮に「豊臣秀吉は、100人中82人が偉大だと考えている人物です」とデータを元に話すことは意見です。
- 感想を事実に昇華させることを意識する
- 意見を事実のように言わない
これらを意識することが大事です。
話を理解するために「傾聴」の方法を覚えよう
一般的には「相手を理解し、共感する技術」と言われます。
そのために、「言葉を遮らずに話を最後まで聞くこと」や「実体験に置き換えて聞き、共感すること」などの方法が紹介されます。
しかし、中には話を聞いているようで聞いていない人がたくさんいます。
傾聴の本質は「伝えたい意図を正しく理解すること」です。
仮に「訪問販売のみでは購入に至らないため、ウェブ戦略も取り入れていく」という方針を部下に伝えたとします。
その際に部下から「訪問販売はもうしないのですね?」と質問されたとします。
この場合、部下は正しく話が聞けない人です。
部下は「ウェブ戦略に力を入れる」から「訪問販売はしない」と理解したということです。
「事前にウェブで商材情報を知ってもらい、訪問販売時の交渉を行いやすくする」というのが本来の意味だった場合、正しい理解ではないです。
「ウェブ戦略はなぜするのか?」
「訪問販売との連携はあるか?」
「訪問販売の方針がどのように変わるのか?」
と思考し、最後まで聞いても理解できない場合は質問して正しく理解をすることが求められます。
相手が伝えたいことを理解するための方法論について記載します。
相手の話を聞く方法は2種類あります。
- 自分の言いたいことを考えながら聞く
- 相手の言いたいことを考えながら聞く
自分の言いたいことを考えながら聞く人の特徴
自分の言いたいことを考えて聞く人は、以下のような特徴があります。
- 論破のみを考えている人
- 教えてやろう、アドバイスしてやろうというお節介な人
この振る舞いは、相手のことを考えているように見えますが相談者からは「自己中心的な人」と認識されます。
当然、これは「聞いているようで聞いていない状態」と言えます。特に自分の言いたいことありきになるため、臨機応変に対応ができません。
相手の言いたいことを考えながら聞く人の特長
相手の言いたいことを考えて聞く人は、相手の話を正確に理解しようとします。
その人らは以下のような特長があります。
- 肯定も否定もしない
- 相手を評価しない
- 意見を安易に言わない
- 相手が全て話し切るまで沈黙する
- 自分の好奇心を総動員する
相手の話を全て聞き終えた後、相手が求めていることは何かを考えれるのが知的で慕われる人です。
このように相手の要求を正しく理解し、どのような会話を期待しているか判断することが大事です。
アドバイスではなく、交通整理しよう!
人はアドバイスで動きません。なぜなら、人は理屈ではなく感情で動く生き物だからです。
それなら、どうすれば良いか?
自身で答えを見つける、もしくは自身でそう決めたように思ってもらうことと良いです。
整理しながら会話する技術について説明します。
1:ゴールの確認
どのようなゴールを求めているのか?を確認します。
例)今の恋人と結婚するべきか迷っているから相談に乗ってほしい
上記は「結婚した方が良いのか、しない方が良いか」が判断できない状態です。
結論を出すための思考の整理を手伝うことが求められます。
2:考えを聞く
人は多くの場合、答えを持っています。
しかし、その答えに行き着くまでに問題があるため、踏み切れない場合があります。
そのため、モヤモヤを全て吐き出してもらうことをします。
例)彼女との同棲生活がうまくいくかわからないし、自身の収入で養えるかも自信がない。他にも良い人がいるかもしれない。
不安に思うことや問題点を全て出してもらいます。
3:話を整理し、相手の意思決定を助ける
決定を妨げる原因を整理し、辻褄の合わない部分や不確定な部分を解決する方法を確認をしてあげると良いです。
例1)同棲生活がうまくいかないなら、どうすれば良いと思う?
例2)収入が少ないならどうすれば解決できる?
例3)他に良い人が現れたら、どう対処する?愛情はその程度のものになってしまっているの?
これらの解決方法は多くの場合、本人が持っています。
これらが明確になれば、本人の意思決定に役立てることができます。
深掘り「質問」で求める回答を手に入れよう
まず、相談した人が相手を信頼する時はどのような時でしょうか?
課題解決した時ではありません。「一緒に考え、一緒に答えにたどり着いた」時です。
特にビジネスにおいて、表面的な打ち合わせしかできない人がいます。これでは信頼を得ることができないです。
核心に触れる本質的な打ち合わせをできるように質問してくれる人は優秀な人材と評価されます。
質問は、ひとりでは気づけなかったことを深く掘り下げるために行います。
質問技術:深掘り質問
コミュニケーションの注意点は、「相手が主体であること」です。
質問をして、次に自分のターン…ではありません。
これでは、自分のしたい話をしているだけです。良い例は以下です。
と会話を深掘りしていくことが必要です。
その際の注意点は、質問責めにならないように配慮することです。
深掘り質問は以下を意識するとうまく深掘りできます。
- 何をしたか?(過去の行動)
- その時の状況は?(状況の深掘り)
- その時はどのような行動を?(行動の深掘り)
- で、どうなった?(成果・結果の深掘り)
- もし、こうなったらどうする?(仮定の状況における行動)
質問技術:事前に仮説を立てる
質問する上で仮説を事前に立てておくことは重要です。
仮に以下のように質問したとしましょう。
このような質問をしたところで「特には…」なんて回答されて狙った回答が得られません経験はありませんか?
これは抽象的で相手は回答がしにくいのです。
相手の立場に立ち「最近、新しいマーケティングツールを導入したし、覚えるのは大変だろう」と仮説を立てて質問したとします。
これで初めて業務で不満に思っていることを引き出せたりします。
このように、事前に仮説を立てておけば、相手からうまく引き出すことができます。
・反対の意見を考えてみる
・仮説の成否は関係ない。間違っていても良い
教わる技術
自分が教わる身になった場合、相手の選び方から覚えなければなりません。
聞きやすい人や身近な人ではなく、あくまで「聞くべき人」を考え、さっさと課題解決しましょう。
聞くべき人の選定は、自身の抱えている課題を解決させることのできる人です。その人に質問する際は、以下のポイントを抑えて質問しましょう。
1:一度に一つの質問のみ
複数の質問を一度にすると、どれをどのように回答する内容を考えさせてしまう
2:目的を明確に知らせる
「質問技術:事前に仮説を立てる」で書いたようにざっくりとした質問では回答をうまく引き出せません。
何を目的に質問しているかを明確化させましょう。
(悪い例)人気ブログにするにはどうすればいいですか?
(良い例)ブログの閲覧数を上げるためにWebマーケティングを勉強しようと思っています。そのためには、何を学習を始めれば良いですか?
3:要素を分解して具体的に聞く
もっとわかりやすくするためには、要素を分解していくことが大事です。
上記の例で言えば、「Webマーケティング」を分解していくと以下のようになります。
- サイトのデータ解析によるマーケティング施策
- SNSによるマーケティング施策
- コンテンツの方針決めによるマーケティング施策
これのどれについて、聞きたいのかを明確化することで相手は正しい回答ができるようになります。
4:何がわかっていないか明確化し、状況を正しく伝える
質問に具体性が増すと回答者も必要な回答ができるようになります。
上記で言えば、「ブログの閲覧数を上げたい」ことのために何が必要かわかっている状態です。
その上で、どれについて調べて知識があるのか?どれについてわからないことがあるのか?
場合によってはわからない状態になった経緯を説明するとより的確な回答が得られるかもしれません。
と、このように状況を自身で整理し、伝えることで求める回答を得られるようになります。
深く思考したものを「言語化」しよう
まずは、コミュニケーションにかかるコストについて理解しなければなりません。
コミュニケーションにはコストが発生します。
通話や話をすることは自身と相手の時間と思考を消費し続ける行為です。
対し、メールは言語化していく必要があるため、自身の時間と思考を消費する行為です。
「とりあえず、通話して相談する」という行為は、相手にコストをかけさせるため相手に負担をかけます。
これまで本記事で書いてきた思考の深め方はこの「言語化」のプロセスとなります。
思考を深めることにより、「言語化できること」が本記事のゴールです。
良いものをアウトプットし続ける人は、思考回路を言語化できます。
- 客観性を持ち、様々な視点から物事を捉える
- 整理し、本質理解を行う
- 傾聴し、相手の話を整理していく
- 質問し、自身の考えになかった部分まで掘り下げる
これらを行った上で、言葉にしてアウトプットをします。
深く思考されたアウトプットは人々を動かします。
言葉を再定義してみる
言葉や概念を再定義してみると良質なアウトプットが生まれることがあります。
たとえば、コーヒー。
コーヒーは、カフェイン入り飲料で苦い大人の飲み物です。
その反対意見は?カフェインが入っていない甘い子供の飲み物となります。
大人をターゲットにしないコーヒーとは?を考え企画することで新たなコンセプトが生まれるかもしれません。
このようにコーヒーの定義を考え、再定義しようと考えると新たな発想に結びつくことがあります。
言語化を習慣化する
抽象的な言葉は、正しい理解ができないことや正しく伝わりません。
最近、見た映画について聞かれた時に「面白かった」と答えていませんか?
特に「エモい」や「やばい」、「すごい」は語彙力を貧弱にします。
抽象的な言葉を使わずに伝える癖をつけると脳に思考のスイッチが入ります。
また、言語化の習慣化させる上では、読書ノートをつけることも良いとされています。
読書して、アウトプットする際に要点をまとめることで知識をアウトプットできます。
そこに自身の体験と本の内容を重ね合わせた所感を追加すると良いです。
ノウハウメモも良いです。
ノウハウを教えてもらった時にそれらを箇条書きにして言語化することで習慣化されていきます。
メモしていくことで言語化習慣にもなるし、議事録にもなります。
おすすめは以下の方法です。
- ××で学んだ10のことを箇条書き
- ××で大切な5つのことを箇条書き
思考の言語化のために、考えたこと、学んだことを自分の言葉でメモしていくことを習慣化いくと良いです。
まとめ
思考の深め方について、これまで書いてきました。
ゴールとしては、思考を言語化することです。
言語化できるからこそ、良いアウトプットができます。
その上で、手法は以下のようにすると良いです。
- 客観性を持つ
色々な観点で考える
主観のみで判断しない - 整理して本質を理解
問題・課題は細分化し、整理する - 傾聴して相手を理解
相手の考えを分解し、交通整理する - 質問して考えを深掘りする
疑問点を洗い出し、明確に質問をする - 言語化してアウトプットする
1〜4に労力をかけ、人々を動かす
思考を深めるために時間はかかるものです。
しかし、これほどに入念に考えた人は発言に重みが増し、信頼性も向上します。
時間をじっくりかけ、考え、頼られる人になれるように思考を深めていきましょう!