恋人とのデート中、「この青い服と白い服のどちらが似合うと思う?」
そう聞かれたら、あなたならなんと答えますか?
この質問から本書は始まります。
よくありそうな話ですね。
これに対し、どう答えるか?
今回は、「頭のいい人が話す前に考えていること」という書籍紹介の前編です。
本記事は、頭のいい人はどのように考えるかについてご紹介します。
本書では、「頭のいい人」と表現していますが、ビジネスやコミュニケーションで活用できる「考え方」について理解することができます。
・論理的な思考のやり方を知りたい人
すぐに反応せず、6秒考える
その1「頭が悪くなる瞬間、頭が良くなる時間」についてです。
頭の良し悪しは、感情のコントロールができるかがポイントとなります。
- 怒っている人に冷静な判断は不可能
- 冷静さを保ち、判断することが大事
サセックス大学の心理学者、スチュアート・サザーランド氏の著書『不合理 誰も免れない思考の罠100』でこう述べています。
「怒りや恐怖など強い感情に囚われると、愚かな行動に走りやすい」
では、常に感情を抑えないといけないのでしょうか?
そうではないです。
むしろ、人は感情的な生き物なので無理です。
そのため、感情を「コントロールすること」が重要であり、方法を知る必要があります。
2:相手の反応を考え、いくつかの案を比較検討すること
上記2を実践するにあたり、以下の理解が必要です。
ダニエル・カーネマン氏の著書『ファスト&スロー』で人間の思考は2つあると述べています。
- 早い思考(システム1)→直感的思考
- 遅い思考(システム2)→論理的思考
人はシステム1が優位のため、システム2を意識的に使う必要があります。
システム1が顕著に現れるのは「怒りの感情」を持った時です。
怒りの感情(システム1)はどのようにコントロールできるのでしょうか?
ここで、「アンガーマネジメント」が重要になってきます。
つまり、怒りを感じた時、直観的思考で回答しそうな時は6秒待つことで思考力は回復します。
即座に反応しないこと。
とにかく反応しないこと。
まずは、6秒間反応を我慢することが重要となってきます。
相手の立場に立って考える
その2「頭の良さを決めるのは「だれ」だ?」についてです。
頭の良さを決めるのは「他者」です。
では、その評価はどのように決まるのでしょうか?
ビジネスの達成目標、学生の成績などは数値的な指標で表されます。
しかし、社会における「頭の良さ」は数値で表すことができません。
「頭の良さ」は仕事を効率的に進め、成果を出す人を指すからです。
「頭が良い」と認識している人が多ければ多いほど頭の良い人と評価されます。
人が決める「頭の良い基準」とはなんでしょうか?
それは「コミュニケーション能力」です。
2:他者がどのように感じるか考える力
「他者の思考を読み、他者の信頼を得て、他者を動かす能力」がコミュニケーション能力です。
これは「社会的知性」と呼ばれています。
社会的知性をつけるため、まずは「とことん相手の立場に立って考える癖をつける」ことが大事となります。
議論を発展させるため、課題分解力を身につける
その3「なぜ、コンサルは入社1年目でもその道30年の社長にアドバイスできるのか?」についてです。
コミュニケーションには「賢いふり」と「賢い振る舞い」があります。
賢いふりはNG、賢い振る舞いOKと述べられています。
本章では、賢い振る舞いは以下の2点ができる人と記されています。
- 議論を発展させる発言ができる人
- 「ちゃんと考えてくれている」と思ってもらえるほど考えている人
例えば、旅行の計画を練っているとします。
A「どこか旅行へ行こう。」
B「いいね。」
A「どこへ行こうか?」
B「どこでも好きなところでいいよ。」
A「じゃあ、那須でキャンプしようか?」
B「那須か。連休で行くとなると混みそうだからちょっと嫌かな。」
A「そっか。」
B「でも、キャンプならタイミングを考えればいいかもね。それに那須といえば、〇〇という観光スポットがあってね。」
・・・
どうでしょうか?Bさんはどちらでしょうか?
この場合、Bさんは「賢いふり」の人となります。
批判や意見は、思っていることを言えばいいだけなので誰でもできます。
賢い振る舞いの人は、議論が発展するように最初に意見を述べる人です。
A「どこか旅行へ行こう。」
C「いいね。二人が好きなものが楽しめるところへ行こう。」
A「私たちはキャンプが好きだよね。」
C「そうだね、それならキャンプができる候補地を考えようか?」
A「那須でキャンプしたいなって思っているよ。」
C「僕は那須には詳しくないけれど、調べておくね。」
A「キャンプ地以外は私もあまり知らないんだ。」
C「じゃあ、何をしたいかリストアップして二人でスケジュールを決めようか。」
・・・
いかがでしょうか?
結果として、同じような結果だったとしてもこちらは賢い振る舞いです。
議論を活性化させるために調べ、考え、提案を行う人は内容が稚拙でも評価を受ける対象となります。
本章では、冒頭の問いが出てきます。
デート中に「この青い服と白い服のどちらが似合うと思う?」と聞かれたからあなたはなんと答えますか?というものです。
ここで、自分の好きな色を伝えること、どちらも良いということは意見や批判に含まれるので「賢いふり」です。
相手の受け取り方は、どちらでもいいよと適当に考えているように思われてしまいます。
特に最近の流行りを語り出す自称知識人。
これは賢いふりをしている人の顕著な特徴です。
信頼を得るには「なぜ相手がその二つで悩んでいるのかをヒアリングすること」が求められます。
その考えを聞いた上で、どちらがどういう時に使えるのか?という課題の可視化をしてあげることで選ぶ手助けになります。
このように、課題の分解力があり、それを相手に可視化してくれる人は信頼されます。
問題の本質を見抜くこと
その4「頭のいい人は、論破しない」についてです。
議論を戦わせ、相手を論破することは基本的には間違いです。
なぜなら「相手を打ち負かすこと」が目的になってしまうケースが多いからです。
議論の目的はあくまで「仕事を進捗させること」です。
意見が違えた時、論理的に回答することだけを考えると間違ってしまうことがあります。
問題の本質に触れることが大事です。
仮に、会議にて「議事録を取ってください。」と部下に指示しました。
その時「議事録は不要です。」と言われました。
ここで指示に対し、言う事を聞かない相手を論破し、指示を強行的に実施することは可能です。
しかし、「議事録が不要」となぜ思うのだろうか?と言う問題の本質を見落としていることになります。
「会議での活発的な発言ができなくなるから」ではないだろうか?
「記録に集中しすぎて、ちゃんと議論を聞けないから」だろうか?
と考えることは大事です。
しかし、議事録を取る本質は「進捗のチェックや仕事の担当割、スケジュールの把握などの役割」を担う重要なものです。
ならば、自身の課題解決と部下の課題解決できる方法は何か?
事前に記録のフォーマットを作っておき、記録に効率的に行える仕組みを作ることで解決できるかもしれません。
会議の音声・動画録画をすることで、会議中は会議に集中し、会議後にまとめれば解決できるかもしれません。
コミュニケーションの中で、問題把握と課題解決の糸口を見つけることができるように「本質を見極めること」が重要となります。
相手に伝わらない場合は自身の考えが浅い
その5「「話し方」だけうまくなるな」についてです。
商談が失敗した際に反省点を振り返るとします。
その際に、人は以下のどちらを考えるでしょうか?
- 連絡や話し方が悪かった
- それまでが悪かった
ビジネスでは、なぜか多くの人が1のせいだと考えてしまいます。
上手く話せるに越したことはありませんが、話し方だけが上手くなっても、それは「賢いふり」であり、上っ面のコミュニケーションになってしまいます。
特に歳を取るにつれて、これは通用しなくなってしまいます。
むしろ、賢いふりは逆に馬鹿に見えてしまいます。
「それまでが悪かったこと」を自覚していくことが大事です。
自身の考えが浅さと認識し、思考の質を高めていくことが求められます。
見栄を張らず、素直な回答とそれについて深く考えることが求められます。
相手に伝わらないのは、話し方ではなく考えが足りないためだと考えるようにした方が良いようです。
知識は相手の会話に合わせて使うこと
その6「知識が「知性」に変わるとき」についてです。
相手が求めていない時に知識を披露したとしても「知性のある人」とは認識されません。
「知性のある人」は、相手が必要な時に知識を使う人です。
「これから寝る時間を決めたいと思っているんだ」と言われたとします。
そこで「良いね、良い睡眠を取りたいなら睡眠サイクルを意識すると良いよ。睡眠サイクルとはね・・・」と話すとします。
こちらは知識を披露しているだけです。
知性のある人は「なぜ決めたいの?」と質問し、「最近寝つきが悪くてさ、良い睡眠を取りたいんだ」など原因確認します。
「寝つきを良くするなら、寝る2時間前にお風呂に入ると副交感神経が優位になるから寝やすくなるよ」と回答できます。
このように相手が求めていることを会話の中で理解して、アドバイスしていくことが大事です。
ポイントは、相手のためになる情報発信かを判断することです。
自身の知識の披露ではなく、相手の抱える問題を解決することができれば知性のある人間だと判断されます。
つまり、知識は誰かのために使って、知性になります。
他人を承認し、自身は行動で示すこと
その7「承認欲求をコントロールできるものがコミュニケーション強者になれる」についてです。
話を上手にするよりも大事なことは「相手の承認欲求をコントロールすること」です。
自分自身の話を雄弁に語るのではなく、相手の話を聞き、自尊心を損ねずに承認欲求を満たすことが大事です。
そのためには、「自己抑制」と「他人の承認」ができるような人間になることが求められます。
1:自信を持つこと
誰かに承認されたい人はコミュニケーション弱者です。
自分自身が自分を認め、自尊心を持つことが大事です。
2:口でアピールするのではなく、結果で自信の有能さを証明をする
自分が話すよりも相手に話してもいます。
その中で、自分は「なんでもない人間です」という態度をとると良いです。
自己PRによって、他者に承認されるのでは知的で慕われる人にはなれません。
あくまで行動し、結果を出すことで他者に承認されます。
アピールせずに行動し、自信を持つようにすると良いです。
- 相手にはこちらが承認する
- 自身は行動によって承認を得る
人が承認したくなる時は「親切にされた時」です。
結果を出した上で、他社には親切であるを意識すると良いです。
肩書きがあるから信頼されるわけではないのです。
自分自身が結果を出し、なおかつ他者を承認してあげることで信頼されます。
信頼されることで人はついてきます。
相手の承認欲求を満たしてあげ、自分は行動の結果で相手に承認してもらうという考えが大事です。
なおかつ、結果を出しても謙虚で親切であることが良いです。
まとめ
7つのセクションに分けて、頭のいい人の考え方を書きました。
もう一度、改めて確認すると以下のようになります。
- すぐに反応しないこと。反論などするときは6秒待つこと
- 相手の立場で考えてみること
- 議論の際は、課題を分解して考えること
- 問題の本質を理解すること
- 理解されない場合、それは自身の考え方が浅いということ
- 相手のために知識を使うこと
- 会話において他者の承認欲求を満たしてあげること。自身は行動で示すこと
この7つを意識して生活することで「頭のいい人」の考え方ができるようになります。
全てを一度に実践するのは大変です。
まずは、1つでも意識して生活し、コミュニケーション強者を目指しましょう。